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#11 2022年 コンポスト元年、“すてない暮らし”は実現できたのか?

Life Design Books


■ベランダにコンポストを置き、堆肥作りをスタート


昨年3月、生ごみを減らそう!と決意し、コンポストをベランダに設置しました。コンポストとは、家庭から出る生ごみなどを微生物の働きを活用して発酵・分解させ堆肥を作るという意味で、昔から伝承されてきた日本の大切な知恵のひとつです。生ごみを減らそう!と強く意識したのは、一昨年の秋にお笑いコンビ「マシンガンズ」の滝沢秀一さんの講演「明日から実践できる、食品ロスの削減」を聴いたのがきっかけでした。滝沢さんはお笑い活動の傍ら、定収入を得るためにごみ収集会社へ就職。2018年にごみ収集員としての体験を綴ったエッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)がベストセラーとなり、その後も多数の著書を出版しています。「新米の季節は、それまで使っていた米が捨てられる」「中元でもらったメロンが丸ごと置いてある」など、ごみ収集の現場の実態に驚いたのはもちろんですが、「家庭から出る野菜くずなどの生ごみには、重量の80%以上に水分が含まれ、もはや水を焼却しているようなもの!」に衝撃を受け、生ごみ削減にはコンポストだ!と思い立ちました。


持ち運びもしやすい、LFCコンポスト(高さ37cm 横幅50cm 奥行21cm)。


3カ月に1度届く基材(発酵促進剤のようなもの)。配合の中身は“企業秘密”とか。


ベランダにコンポストを置くのは、臭いや虫がご近所に迷惑では?と躊躇していましたが、様々なタイプのコンポストの中から、これならできそうだと思ったのが、トートバックタイプのLFCコンポスト。選んだ決め手は、①生ごみを分解する独自の基材(生ごみを分解するための材料)、②持ち運びが楽なバッグタイプ、③不明点はLINEでいつでも相談できる、の3点です。初回はコンポストバッグと基材とリーフレットが届き、その後は3カ月に1度新たな基材が届く仕組みです。堆肥になるのに約3カ月を要するので、最初の堆肥は6月頃にできる見込み。コンポストバッグに基材を入れてベランダに置き、生ごみを入れてはスコップでかき混ぜる毎日が始まりました。

ほぼ同じタイミングで、CSA LOOPという地域支援型農業と食循環の仕組みへ参画しました。これは、野菜と堆肥の資源循環をおこなうと同時に、消費者と農家、拠点となるカフェやファーマーズマーケットなどでの人と人との交流も伴いながら、持続可能な循環する場と営みをつくっていく仕組みです。CSA LOOPに参画する際、事前に農作物の代金を支払い、年間を通して野菜を定期的に受け取り、農家は、収穫量や市場に左右されることなく、独自の販路で営農ができるというもので、株式会社 4Natureが運営しています。以前から興味を持っていたプロジェクトだったので、コンポストを始めるのをきっかけにメンバーになりました。

 

■渋谷のカフェではずむ、コンポスト談義


私が参加したCSA LOOPは、渋谷のベーカリーカフェを拠点としたグループで、参加メンバー15名が月に1度野菜を受け取りにいくというもの。カフェのオーナーである大越さんは、以前から三鷹市で農業を営む冨澤ファームの冨澤さんから野菜を仕入れ、野菜を主役としたパンを提供していました。第1回目の野菜の受け取りは、昨年2月下旬。渋谷のカフェに着くと、入口で冨澤さんが三鷹の畑から運んできた野菜を並べていました。カフェに入るとおいしそうなパンがずらりと並び、初めて会うメンバーの皆さんとお野菜たっぷりのパンを食べながら、まずは自己紹介。「農家さんから直接お野菜を買いたいから」「コンポスト初心者なので、堆肥ができるまでの情報を知りたい」などを参加のきっかけにあげる人が目立ちました。
 


お野菜たっぷりのカレーパンが1番人気!



 
私もLFCコンポストの初回セットがそろそろ家に届くタイミングだったので、コンポストの話題は正に渡りに船!メンバーの1人は、2021年4月にコンポストを始め、中へ入れたものとコンポスト内の温度を毎日記録し、インスタグラムにアップしています。最初は台所のゴミが減ることに驚き、次第に毎日変化していくコンポストの中の様子が面白くなったそうです。コンポストビギナー組からは、「毎日どの位の量を入れていいの?」「入れない方がいいものは何?」「温度を保つにはどうしたらいい?」など、質問は尽きません。「炒め物をした時の残った油を入れると、コンポスト内の温度があがって熟成しやすくなるみたい」「夏になると、どうしても虫は出るかな」など、様々な体験談を聞くことができました。


初回に受け取ったお野菜、なかなかの重みです


 
1時間ほどコンポスト談義をしていると、冨澤さんから「お野菜の準備ができたので、順番に取りにきてください」とお声がかかり、2~3人ずつ野菜を受け取りに行きます。収穫したばかりの野菜がズラリと並び、思っていた以上の分量でした。キャベツと大根だけでも、その重さに誰もがびっくり。冨澤さんから「コンポストでできた堆肥は、次回こちらに持ってきていただければ三鷹へ持ち帰り、うちの畑の堆肥にします。4月は季節もよいので、三鷹の畑でお野菜の受け渡しをする予定です。ちょっと遠くなりますが、ぜひいらしてみてください」とのアナウンス。生ごみが堆肥となり畑に戻るこのプロジェクトの全容が、ようやくわかった気がしました。


三鷹市内にある、「冨澤ファーム」。


 

■夏のコンポストは、ハエとの闘い!


 
3月にスタートしたコンポストですが、最初は正に手探り状態。野菜くずを中心に毎朝コンポストバッグに入れ、全体に酸素が行き渡るようにスコップでかき混ぜては「分解しますように~発酵しますように~」と念じて約3カ月。野菜受け取りの場に初めて堆肥を持って行った際、冨澤さんは臭いや色をみたのち手で触って熟成度を確認し、「野菜を入れる量が少なめかもしれません。基材がまだまだ残っているので、もっといろいろ入れていいと思いますよ」とのアドバイス。他のメンバーからも「魚の皮や骨、肉の脂身などのたんぱく質を入れるのもおすすめ。臭いが気になるかもしれないけど」「野菜はできるだけ小さく刻んで入れたほうが、分解しやすいみたい」と貴重なコメントをもらいました。野菜を受け取りに行くたびに、コンポストについてのナレッジが少しずつ増え、ありがたい限りです。
 
7月頃になると、コンポストバッグの口を開けると何やら小さな小さな大量のハエがふわ~!と出てきます。「出た!コバエ!」と最初は身構えましたが、「コバエも分解に役に立つから気にしない!」「コンポスト内を40度以上にすると卵が死んで繁殖しないよ」とまたもやメンバーからの的確なアドバイス。大きなビニール袋でコンポストバッグを覆って内部の温度をあげて3日ほど密閉状態にすると、見事にコバエはいなくなりました。4月から通い始めた野菜作り講座で夏野菜が採れたこともあり、コンポストバッグがパンパンになるほど野菜くずを投入。2回目の堆肥は、1回目よりもやや発酵と熟成が進み、堆肥らしいものになったようです。
 
トートバックタイプのLFCコンポストを購入し、野菜と堆肥の資源循環の仕組みCSA LOOPに参画、さらに4月からは世田谷区の野菜作り講座で農家さんに農業のイロハを学んだ2022年。土から収穫した野菜を食べる時は皮やヘタなどをできるだけ食べるように努め、それでも出る野菜くずはベランダのコンポストバッグへ。冒頭に紹介した滝沢さんの「生ごみは、水を焼却しているようなもの」という言葉が刺さったので、コーヒーのかすも消臭剤として使って乾燥させてから捨てるようになりました。それでもごみはゼロにはなりません。ただ、ごみ袋を20ℓにサイズダウンし、圧縮して出すように心がけています。ごみ袋の重さが明らかに軽くなったのは、水分を含んだごみを極力減らす努力をしたからだと思います。野菜作り講座は2月で終了しますが、LFCコンポストとCSA LOOPは4月以降も続きます。「土からもらったものは土に返す」という循環の仕組みが、もっともっと拡がっていくことを願いつつ、2023年は“すてない暮らし”にもう一歩近づけたらと思います。

文・藤本真穂 
株式会社ジャパンライフデザインシステムズで、生活者の分析を通して、求められる商品やサービスを考え、生み出す仕事に従事。女性たちの新たなライフスタイルを探った『直感する未来 都市で働く女性1000名の報告』(ライフデザインブックス刊/2014年3月)の編纂に関わる。2022年10月に60歳を迎えるのを機に、自分自身の働き方や生き方を振り返り、これからの10年をどうデザインするかが当面の課題。この3月、60歳まであと半年を残してプチ早期退職、37年間の会社員生活にひと区切りした。



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