#4 退職後7日目、母が骨折!突然始まった親のケア
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#4 退職後7日目、母が骨折!突然始まった親のケア

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■お花見の余韻を消し去る、アクシデント発生


4月上旬、桜満開の小田原城へ母と出かけ、天守閣やお堀を背景に咲き誇る約300本のソメイヨシノを満喫しました。お城の周りを歩き疲れたので、報徳二宮神社の境内にある「きんじろうカフェ」でひと休み。このカフェは「二宮尊徳翁」を多くの人に知ってもらうためのカフェだそうで、メニューは尊徳翁にちなんだものばかり。注文したカプチーノには、薪を背負って本を読む幼少期の二宮金次郎のラテアートが!


小田原城のお堀の見事な桜  
     
  二宮金次郎のラテアート


お花見気分を存分に味わったので、そろそろ小田原駅へ向かおうと道を渡ろうとした時、突然、バタン!と母が転倒し、道に倒れこんでしまいました。一瞬、何が起こったのかわからなかったのですが、どうやら足元の縁石につまずき身体を強打したようで、動きません。「どこ痛い?」と尋ねると、「ひじ打った・・・」。右ひじの周囲はみるみるうちに赤黒く腫れあがり、顎も内出血して紫色です。「もしや、骨折か・・・」という重苦しい予感が、残念ながら的中してしまったのです。

小田原駅周辺の整形外科に駆け込むことも一瞬よぎりましたが、とりあえず新宿行のロマンスカーに飛び乗り、電話で実家近くの整形外科へ母の状況を伝えました。診療時間内ギリギリに滑り込み、レントゲンを撮り終えた医師の口からは「右ひじが、折れていますね」のひと言。「え~!」と小さな悲鳴をあげる母の横で、私は「やっぱり折れましたか~」とうなだれました。医師からは手術が必要なことを告げられ、翌朝には紹介状を持って大きな病院へ行くことに。3月末に22年間勤めた会社を辞めて7日目、母の入院が決まりました。

■不安倍増だった、コロナ禍の入院&手術


翌朝、右腕にギブス、顎に大きな絆創膏を貼った母と、レントゲン写真と紹介状を手に、新宿の大きな病院を訪れました。慣れない病院はわからないことばかりで、受付はどこ? 次はどこに行けばいいの? 初診の患者にとっては迷宮です。診察のあとは、血液や心電図などのいくつかの検査で84歳の母が全身麻酔の手術に耐えうる身体かを慎重に検討し、夕方にようやく手術日が決定。手術によって考えられる様々なリスクの説明を長々と受け、最後に「こちらにサインを」と机に置かれた「説明・同意書」に自分の名前を記入し、長い1日が終わりました。


全身麻酔への不安は抱きつつ、同意書にサイン


 
入院の日の朝、病室へ向かう母を見送ったあとは、コロナ禍のため面会も一切NG、手術の日も、無事に終わることを願いながら自宅で待つだけでした。コロナ禍での2年間、入院した家族となかなか会えず、多くの人が不安を募らせているニュースを何度も目にしてきましたが、いざ自分の身にふりかかると、その心情が手にとるようにわかりました。幸い母は1週間で退院の運びとなり、術後の骨の具合を見つつ、リハビリに通うことになりました。

退院した翌日からは、食事、洗濯、掃除、病院への付き添いなど、家事力の低い私にとっては、実家でのあわただしい毎日が始まりました。母は「退職のお祝いが介護なんて・・・」と時折申し訳なさそうにつぶやきますが、利き腕が折れてしまっては、何をするにも不自由です。退院して3週間目のレントゲンチェックでようやく「三角巾は外して大丈夫」とのお許しが出たので、少しずつできることにトライし始めています。

退職直後でたまたま時間の自由がきく私でさえ、突然訪れた親のケアには右往左往。病院の様々な手続きに加え、病院通いにつきものの「待ち時間」は、自分でコントロールできませんし、大きな病院はなおさらです。コロナ前のように毎日会社に通っていれば、付き添うためには休暇をとる必要が出てきます。50~60代は自分自身のケアももちろん重要ですが、親のケアとどう向き合うかも大きな課題だと痛感しました。


■「親の介護が必要だと感じたきっかけ」は、親の病気や怪我が約半数


今回の母の骨折は、否応なく「親の介護」を考えるきっかけになりましたが、多くの人は何をきっかけに「親の介護」を考えるのでしょうか。SONPOホールディングス株式会社が行った「親の介護に関する調査」(2019年⒓月)によると、「親の介護が必要だと感じたきっかけ」は、〈親が病気や怪我をしたとき〉と約半数が回答しています。次いで〈同居している親の衰えた様子をみたとき〉(20.1%)、〈お盆やお正月などの帰省時に、普段別居している親の老化や衰えを感じたとき〉(14.4%)と続きます。


出所:「親の介護に関する調査」(SONPOホールディングス株式会社2019年12月 )


8年前に父が亡くなり、基本的には1人暮らしをしていた母ですが、実家でしばらく共に過ごしてみて、もう少しサポートが必要だなと思うこともいくつか見つかりました。それと同時に、「できるだけ長く自宅で暮らしたい」という母の強い意思も確認できたので、それに対応する介護の形を考えなくてはなりません。入院の際に病院のスタッフから「介護保険を申請しておくことをお奨めします」と言われましたが、必要な書類が揃わずにまだ申請できていません。

介護経験のある友人から「このタイミングで申請しておけば、本当に必要な時にすぐにサービスを受けられるから、早く行った方がいいよ」とお尻を叩かれ、なるべく早く区の窓口へ行ってみようと思います。私の家事力の低さをよく知る友人からは「コレさえあれば白いご飯がおいしくなるよ!」と煮魚の惣菜セットが届き、大助かりでした。母の骨折というハプニングで、退職後の暮らしは予想外のものとなりましたが、親の介護を考えるには貴重な時間となりました。いずれ訪れる親の介護は、正直先送りしたいテーマですが、いざという時のための準備は早いに越したことはありません。それと同時に、自分に介護が必要になった時はどうするべきなのか、もう1つの課題を突き付けられた気分です。

文・藤本真穂 
株式会社ジャパンライフデザインシステムズで、生活者の分析を通して、求められる商品やサービスを考え、生み出す仕事に従事。女性たちの新たなライフスタイルを探った『直感する未来 都市で働く女性1000名の報告』(ライフデザインブックス刊/2014年3月)の編纂に関わる。2022年10月に60歳を迎えるのを機に、自分自身の働き方や生き方を振り返り、これからの10年をどうデザインするかが当面の課題。この3月、60歳まであと半年を残してプチ早期退職、37年間の会社員生活にひと区切りした。

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