
【AND PET】#7 テクノロジーを活用していますか?
注目される「ペットテック」
ペットの行動を遠隔で見守ったり、生体データを管理したりする製品やサービスについての情報を最近よく耳にします。これらはペット(Pet)+テクノロジー(Technology)=ペットテック(PetTech)と呼ばれています。
今思えば、20年近く前に話題となった犬や猫の言葉を翻訳する機械も、ペットテックの先駆けだったのでしょう。「ペットとコミュニケーションをとりたい」という気持ちから生まれたものですが、最近のペットテックは、その目的が「ペットの健康」「ペットの安全」へと変わってきているなと感じます。
ペットテックの例には以下のようなものがあります。
・排泄から健康を管理するスマートトイレ
・外出中でもアプリを使って餌を与えられる自動給餌器
・留守中のペットの様子を飼い主に送信しつつペットの遊び相手にもなるロボット
・活動を記録するウェアラブルデバイス など
その種類や使われるテクノロジーは様々で、私もそろそろ腎機能が心配なお年頃になってきた我が家の猫、ぼたんのために尿検査ができる猫砂を応援購入したことがあります。市場規模は徐々に拡大しており、今やペットテックは伸びしろのある注目産業といえるでしょう。

女性の一生を支える「フェムテック」
ペットテックと同様に、最近話題になっているのが、女性が抱える健康や体の問題をテクノロジーで解決しようというフェムテック(FemTech)=女性(Female)+テクノロジー(Technology)です。
テクノロジーと聞くと、生理周期を管理するアプリや健康相談のオンラインサービスといったデジタルなものをイメージしてしまいがち。でも、ペットテック同様、以下のように様々なテクノロジーが使われており、決してデジタルなものばかりではありません。
・吸水ショーツや月経カップなどの生理用品
・デリケートエリア専用のソープ
・卵巣機能のチェックキットや排卵日予測検査薬
・腟や骨盤底筋のトレーニンググッズ
・セルフプレジャーアイテム
・更年期症状を和らげる漢方やサプリ など
フェムテックが注目されるようになった背景には、女性の社会進出があるといわれています。SOMPOひまわり生命株式会社が2020年に行った調査では、仕事をする女性のうち、体や健康の悩みによって仕事のパフォーマンスが低下していると感じたことがあると回答したのは約60%。さらに、それらの悩みの解決によってパフォーマンスがどのくらい改善するかという質問に対しては、平均値で+41.3%との結果が出ています。

男性と同じように働く女性は増えたのに、女性特有の体と心の悩みは解決されないまま。特に日本では、そのような悩みを誰かに相談しにくいという文化もありました。フェムテックには、その課題を解決し、女性の活躍を後押しすることが期待されているのです。
女性のヘルスケア市場専門の情報分析サービス “ウーマンズ”が2021年4月に発表した2021年度の女性ヘルスケア市場の女性ニーズ・消費トレンドで、キーワードの1つに挙げられていたのが「フェムテックの多様化」。2021年度は、現在主流となっている生理・妊娠・産後といった領域から、更年期など女性特有の様々な健康問題に着目したフェムテックへと "多様化” が進むと予測しています。
ペットテックもフェムテックも、みんなが健康でより幸せな毎日を過ごすためのもの。そう考えると、ペットや女性だけでなく様々な〇〇テックが今後登場してくるでしょう。テクノロジーが世の中をどのように変えていくのか、興味深く見ていきたいと思います。
文・横山珠世
女一人と猫一匹の暮らしから人と猫が共に健康で幸せに生きていく術を考える、株式会社ジャパンライフデザインシステムズの編集兼ライター。『セルフドクター』や書籍などの制作・発行に携わる。